MENU

MTAセメントとは?メリット・デメリットと治療費を歯科医師・歯学博士が解説

カテゴリー:

タグ:

投稿日: / 更新日:
ラバーダム防湿根管治療・マイクロエンド・歯内療法歯髄保存福岡・大濠公園・歯医者精密歯科治療・マイクロスコープ

歯科医院で治療を受ける際に

「MTAセメントを使った治療をしましょう」

と言われたことはありませんか。

聞き慣れない材料のため

  • MTAセメントとはどんな材料なのか

  • なぜ通常の治療より費用が高いのか

  • 本当に必要な治療なのか

と疑問や不安を感じる方も多いと思います。

結論から言うと、MTAセメントは歯の神経を守る治療や難しい根管治療で非常に有効な材料です。

ただし、すべての症例に適応できるわけではなく、治療目的や歯の状態によって適応が判断されます。

この記事では

  • MTAセメントとは何か

  • どのような治療で使用されるのか

  • メリット・デメリット

  • 後悔しない歯科医院の選び方

について歯科医師の立場からわかりやすく解説します。


MTAセメントとは

MTAセメント(Mineral Trioxide Aggregate)は、
1990年代初頭にアメリカのロマリンダ大学で開発された歯科材料です。

主に次のような歯内療法で使用されます。

  • 神経を残す治療(歯髄保存療法)

  • 根管治療

  • 外科的歯内療法

日本では2008年頃から使用されるようになりました。

もともとは
デンツプライシロナ社のProRoot MTAが代表的な製品でしたが、現在では多くのメーカーが類似材料を開発しています。

主成分は

ケイ酸カルシウム系セメント

で、水と反応して硬化する特徴があります。


従来材料との違い

MTAセメント 従来の水酸化カルシウム材料
主成分 ケイ酸カルシウム系 水酸化カルシウム
封鎖性 高い 中〜低
生体親和性 高い
硬化機序 水和反応 飽和溶液
変色 可能性あり ほぼなし
費用 比較的高価 安価

MTAは封鎖性(細菌侵入を防ぐ力)と生体親和性が高い材料で、歯内療法分野では重要な材料の一つとされています。


MTAセメントが使用される治療

MTAセメントは、主に歯の神経や歯根に関わる治療で使用されます。

歯髄保存療法(神経を残す治療)

虫歯が神経の近くまで進行している場合でも

  • 直接覆髄

  • 部分断髄

などの処置で神経を残せることがあります。

MTAは歯髄に対して生体親和性が高く、修復象牙質形成を促す可能性がある材料です。


パーフォレーションリペア(穿孔修復)

根管治療中に歯の壁に穴が開く状態(穿孔)

が起こることがあります。

この部分をMTAで封鎖することで、歯の保存を試みます。


外科的歯内療法

歯根の先に病変がある場合、歯根の先端を切除する手術を行うことがあります。

このとき、切断面を封鎖する材料としてMTAが使用されることが多いです。


歯根吸収の修復

歯根が溶ける外部吸収などのケースでは、

欠損部分をMTAで封鎖することで歯の保存を試みることがあります。


MTAセメントのメリット・デメリット

メリット

封鎖性が高い

細菌の再侵入を防ぎやすく、感染の再発を抑える可能性があります。

生体親和性が高い

歯髄や骨組織への刺激が少なく、組織の修復を促す可能性があります。

湿潤環境でも硬化する

口腔内は湿度が高い環境ですが、MTAはその環境でも硬化します。

長期予後が良好な報告が多い

歯内療法の研究でも良好な結果が報告されています。


デメリット

自費治療になることが多い

日本では多くの場合、材料費や手技の関係で自費治療になります。

変色の可能性

前歯では歯が暗く見える可能性があります。(材料によっては変色しません)

操作が難しい

術者の経験や技術によって治療結果が左右されることがあります。

硬化に時間がかかる

仮封処置を行い、後日処置を行う場合があります。


後悔しない歯科医院選び

MTAセメントは優れた材料ですが、治療環境や術者の技術が重要です。

歯科医院を選ぶ際には次の点を確認すると安心です。

治療経験

MTAを用いた治療経験がある歯科医院かどうか。


治療説明

  • なぜMTAを使うのか

  • 他の治療法との違い

  • 治療のリスク

などを説明してくれるか。


治療環境

歯内療法では

  • ラバーダム防湿

  • マイクロスコープ

などの設備が重要です。


最終補綴の精度

MTA治療後は

  • 詰め物

  • 被せ物

の精度も長期予後に影響します。


まとめ

MTAセメントについて大切なポイントをまとめます。

✔ MTAセメントは歯の神経保存や根管治療で使用される材料

✔ 生体親和性と封鎖性が高い特徴がある

✔ 治療結果は術者の技術や治療環境にも影響される


FAQ

Q MTAセメントは保険で使えますか?

日本では自費治療になります。


Q 治療中は痛いですか?

通常は局所麻酔を行うため、処置中の痛みはほとんどありません。
術後に軽い痛みや違和感が出ることがありますが、数日で落ち着くことが多いです。


Q 金属アレルギーがあっても使用できますか?

MTAは金属イオン溶出が少ない材料で、アレルギー報告は非常に少ないとされています。


Q 他院でうまくいかなかった場合でも再治療できますか?

歯の状態によりますが、再治療が可能なケースもあります。
まずは診査・診断を行うことが重要です。


関連記事


監修

辻本デンタルオフィス
辻本 真規

歯科医師・博士(歯学)

所属学会
日本顕微鏡歯科学会
日本歯科保存学会
日本歯内療法学会
日本臨床歯周病学会

日本顕微鏡歯科学会
認定医・認定指導医・評議員・理事

日本大学松戸歯学部
保存修復学講座 非常勤講師

著書
単著
ラバーダム防湿パーフェクトテクニック
ミラーテクニックAtoZ
マイクロスコープパーフェクトテクニック
ラバーダム防湿パーフェクトテクニック2ndエディション
オーバーレイ修復超入門

共著
多数


CTA(診療案内)

MTAセメントを使用した治療は、歯の保存を目指す重要な選択肢の一つです。

  • 神経を残せるか知りたい

  • 他院で抜歯と言われた

  • 根管治療のセカンドオピニオン

など気になることがあればお気軽にご相談ください。

▶ 根管治療の診療ページはこちら
(内部リンク)

 

 

執筆者情報

院長/歯科医師・博士(歯学)

Masaki Tsujimoto
               

【略歴】

2008年
日本大学松戸歯学部卒業 日本大学松戸歯学部附属病院 研修医
2009年
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科
齲蝕学分野入学
2009年~2013年
開業医勤務
2013年
日本顕微鏡歯科学会 認定医取得
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科修了
博士(歯学)取得
2013年~2018年
長崎大学大学院
医歯薬学総合研究科齲蝕学分野助教
2016年~
日本顕微鏡歯科学会代議員
2017年
日本顕微鏡歯科学会認定指導医取得
デンツプライシロナ エンド公認インストラクター
2018年
辻󠄀本デンタルオフィス開業

【受賞歴】

2015年
日本歯内療法学会関東甲信越静支部 第9回ウィンターセミナー鈴木賢策賞受賞
第12回日本顕微鏡歯科学会学術大会 大会長賞受賞
2023年
日本顕微鏡歯科学会学術大会優秀ポスター賞受賞

開業歯科クリニックでの勤務や大学での研究を経て、
長崎大学の齲蝕学分野助教となり、根管治療の難症例などの治療にあたる。

2018年に「辻󠄀本デンタルオフィス」を開業。
マイクロスコープを用いた精密な根管治療を得意とし、難症例にも多く対応している。

歯科医師向けの様々なセミナーの講師を務めるほか、歯科関連の雑誌や書籍の執筆等精力的に取り組んでいる。

Tel.092-791-2223
  • 初診Web予約
  • ※予約後、医院より確認のお電話を致します。
    • ご予約の際は、ご連絡がつながる番号を必ず記載ください。
    • 医院よりお電話でご連絡させて頂いた後、ご確認が取れ次第で予約完了となります。
    • 3日前までにこちらからの電話連絡が付かない場合、予約をキャンセルとさせていただきます。
  • 当院は以下の地域から幅広く、
    ご来院頂いております。
    福岡県、長崎県、佐賀県、熊本県、鹿児島県、
    山口県、東京都、福井県、大分県
ページトップへPage top