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「マイクロスコープを使った歯科治療がいいって聞いたけど、本当に必要なの?」「保険も効かないし、そんなに変わるの?」——そんな疑問を持たれる方も多いかもしれません。
近年、歯科治療の精密化が進む中で、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)の重要性が注目されています。本記事では、マイクロスコープの基本的な仕組みから、そのメリット・デメリット、さらには医院選びのポイントまで、わかりやすく解説します。
■ マイクロスコープの基本知識
・マイクロスコープとは何か?
マイクロスコープとは、歯科治療中に使用する高倍率の顕微鏡のことです。最大20倍以上まで拡大でき、肉眼では見えない歯の細部まで観察できます。
・マイクロスコープの構造と機能
マイクロスコープは高倍率レンズ、LED照明、三次元的な角度調整が可能なアームで構成されており、術者は両目で立体的に術野を観察できます。カメラや録画装置を備えることで、治療の記録も可能です。
■ 歯科治療におけるマイクロスコープの必要性
・精密な診断が可能になる
虫歯や亀裂、根の中の異常など、肉眼では見逃してしまうような微細な異常も発見しやすくなります。
・治療の成功率を向上させる
特に根管治療(根の中の治療)では、マイクロスコープを使用することで、感染部位の取り残しや穿孔(治療中のミスで歯に穴が開く)のリスクを低減し、成功率を大きく高めることが可能です。
・再治療のリスクを軽減
細部まで確認できることで、初回治療の精度が上がり、再治療の可能性を減らすことにつながります。
■ マイクロスコープを使用した治療のメリット
・視野の拡大による治療精度の向上
最大20倍の拡大で見える世界は、想像以上に細かいものです。これにより、余計な歯質を削らずに済み、より正確な処置が可能になります。
・健康な歯を無駄にしない治療
削る量が少なくて済むため、結果的に「歯を守る治療」=MI(ミニマルインターベンション)の実現が可能となります。
・治療過程の記録と確認
多くのマイクロスコープは録画機能があるため、術前・術中・術後の状態を患者さんと共有しながら説明することができ、安心と信頼につながります。
■ マイクロスコープのデメリットと考慮点
・高コストと保険適用の問題
マイクロスコープは数百万円する高価な機器であり、それを活用した治療は保険適用外となるケースが多いため、費用面での負担があります。
・治療時間の延長
精密な操作が求められるため、治療時間がやや長くなることがあります。ただし、その分治療の質が高まり、再治療のリスクが減るとも言えます。
・技術者のスキル依存
マイクロスコープは「使いこなせてこそ意味がある」機器です。どんなに高性能でも、適切に操作・診断できる技術がなければその効果は十分に発揮されません。
■ マイクロスコープを導入している歯科医院の選び方
・実績のある歯科医を選ぶ
マイクロスコープの使用歴や症例数、学会・講習会での活動などが紹介されている医院は、経験と信頼性が高い傾向にあります。また、学会の認定医、専門医、指導医も一つの基準となります。
・治療環境の整備状況を確認
マイクロスコープだけでなく、ラバーダム防湿や、記録装置など、精密治療のための環境が整っているかもチェックポイントです。
・患者とのコミュニケーションを重視する
治療内容やマイクロスコープの使用意図を丁寧に説明してくれる医院は、患者の理解と納得を大切にしている証拠です。
■まとめ
マイクロスコープは、より精密で、より歯を残せる、次世代の歯科治療に不可欠なツールです。しかし、それを「どのように使いこなすか」が治療の結果を左右します。高い技術と信頼を持った歯科医を選ぶことで、あなたの歯をより長く、健康に保つことができるでしょう。
執筆者情報

院長/歯科医師・博士(歯学)
【略歴】
- 2008年
- 日本大学松戸歯学部卒業 日本大学松戸歯学部附属病院 研修医
- 2009年
- 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科
齲蝕学分野入学 - 2009年~2013年
- 開業医勤務
- 2013年
- 日本顕微鏡歯科学会 認定医取得
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科修了
博士(歯学)取得 - 2013年~2018年
- 長崎大学大学院
医歯薬学総合研究科齲蝕学分野助教 - 2016年~
- 日本顕微鏡歯科学会代議員
- 2017年
- 日本顕微鏡歯科学会認定指導医取得
デンツプライシロナ エンド公認インストラクター - 2018年
- 辻󠄀本デンタルオフィス開業
【受賞歴】
- 2015年
- 日本歯内療法学会関東甲信越静支部 第9回ウィンターセミナー鈴木賢策賞受賞
第12回日本顕微鏡歯科学会学術大会 大会長賞受賞 - 2023年
- 日本顕微鏡歯科学会学術大会優秀ポスター賞受賞
開業歯科クリニックでの勤務や大学での研究を経て、
長崎大学の齲蝕学分野助教となり、根管治療の難症例などの治療にあたる。
2018年に「辻󠄀本デンタルオフィス」を開業。
マイクロスコープを用いた精密な根管治療を得意とし、難症例にも多く対応している。
歯科医師向けの様々なセミナーの講師を務めるほか、歯科関連の雑誌や書籍の執筆等精力的に取り組んでいる。
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